タバコに放射性物質含有、製造企業は事実公表せず、厚労省が検証へ…体内被ばくや発がんも

 放射性物質ポロニウム(ポロニウム210)は、ウランの100億倍の放射能の強さを持つ。しかし、放射線の性質は透過力の強いガンマ線ではなく、透過力のないアルファ線のため、人の皮膚は透過しないが、ひとたび人の体内に取り込まれると体内で強力な放射線を発し、内部被ばくをもたらす。また、ポロニウムは透過力のないアルファ線のため、紙も放射線を透過せず極めて持ち運びに便利なため、暗殺に使われるようになった。

 2006年に不審死を遂げた元KGB(旧ソ連国家保安委員会)のアレクサンドルV.リトビネンコ氏の尿からこのポロニウムが検出され、その存在が注目を浴びた。また、元PLO(パレスチナ解放機構)議長のアラファト氏の死因としてもポロニウムが疑われ、遺体の掘り起こしまでされた。ポロニウムを経口で摂取すると体内被ばくを広範囲に引き起こし、多臓器不全をもたらして死に至る。また、少量のポロニウムを取り込んでも、放射線を出し続け、発がんに至る。

 そして、このポロニウムが実はタバコに含有されていることが明らかになり、国会の質問主意書によって検討を指摘された。質問主意書は次のように指摘している。

 「放射性物質ポロニウムは、暗殺にも使われる毒性の高い放射性物質であるが、日本で生産されているタバコにも含有されていることが明らかになっている。タバコによって体内に取り込まれたポロニウムは、繊毛作用によって気管支に蓄積し放射線を放出する。私どもが厚生労働省から提出を受けた資料によると、タバコを一日一箱半喫煙する人のポロニウムによる放射線の曝露量は、年間で80mSvにも及ぶことになる。男性の喫煙者の平均喫煙量である一日一箱でも年間53mSvにもなる。そして、喫煙によるポロニウム曝露に起因する健康被害は、一日一箱を15年間吸ってきた喫煙者では、喫煙によるがん死亡リスクの約1%程度にもなるとされている。そして、70年間吸ってきた喫煙者では、約4%程度にもなるとされている。現在、福島第一原発事故によって、広範囲に放射性物質が放出され、外部被曝や内部被曝が問題になっているなかで、食品安全委員会は生涯累積線量100mSvを採用し、厚生労働省は食品の規制値設定に際し年1mSvを採用している。これに比してもポロニウムによる曝露量は、とてつもなく高いものであり、放射線被曝をトータルに考えた場合、放置することは出来ない」(参議院議員紙智子)

 この質問主意書に対する答弁書で政府は、「たばこの煙中に含まれるポロニウムの吸入による喫煙者及び受動喫煙者の健康への影響については、今後、厚生労働省において、たばこに含まれる個々の成分を分析し、医学的知見を踏まえた上で外部有識者の意見も聴きながら検証を行い、その結果を公表していきたい」と検討を約束し 、それを受けて厚生労働省も4月から「たばこの健康影響評価専門委員会」で検証と検討に乗り出した。

●メーカーは事実を把握しつつ公表せず

 では、なぜタバコにポロニウムが含有されるのか。

 一つは、ウランから派生するラドンガスが空気中で崩壊してポロニウムが発生し、それがタバコの葉に吸収される。タバコの葉には腺毛と呼ばれる細かい毛があり、それが空気中にあるポロニウムをよく吸着する。また、ポロニウムは大気中からだけではなく、土壌内のリン酸肥料(ウラン鉱石を多く含んでいる)からも吸収され、根を通じてタバコの葉に蓄積される。

 このような事実をタバコメーカーは、40年以上前から知っていた。しかし、それを公表せずに隠蔽してきたが、厚生労働省の「たばこの健康影響評価専門委員会」に提出された資料によって明らかにされたのである。

 その資料とは、『眠れる巨人を呼び起こす:ポロニウム210問題に対するタバコ産業の反応』(08年アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス)という論文である。論文は冒頭、次のように述べている。

 「主要な多国籍の紙巻きタバコ製造業者が『眠れる巨人を呼び起こす』ことを恐れて、タバコ内のポロニウム210に関する潜在的な問題について、この問題へのあらゆる世間の関心を避けることによって対処していたことを資料は示している」

 「企業の内部記録は、製造業者が社会全体にかかわるポロニウム210の問題に人々の注目を集めることを避けていたことを示唆している。また、製造業者は、ポロニウム210がタバコの煙の成分であることが分かった時点で、それを除去することを試みたが失敗したことも資料に示されている」

 同論文は、「1968年までに、フィリップ・モリス社は、自社の紙巻きタバコブランドに含まれるポロニウム210レベルは、当時の文献で報告されていたレベルと同等であると確認していた」「フィリップ・モリス社は、ポロニウム210から生じる低レベルの放射線に対し、選択的にタバコをチェックするために1980年代前半に研究室を設置した」として、フィリップ・モリス社が68年から自社のタバコ製品にポロニウムが含有されていることを確認し、80年代前半には、ポロニウム210のための研究室を設置していたことを明らかにしている。

 そして同論文は、次のように結論づけている。

 「タバコ産業は、紙巻きタバコの煙に含まれるポロニウム210の存在に関する幅広い議論が、一般大衆の認識に及ぼす影響について明らかに心配していた。『実際に否定することなく、健康に対する非難についての疑問を生み出す』という全般的なアプローチとは対照的に、ポロニウム210論争に対処するための産業の戦略は、沈黙の誓いを立て、『眠れる巨人を呼び起こすこと』を避けることであった」

 「タバコ産業は、ポロニウム210問題に関して沈黙を守っており、引き続き世間の反応を恐れていることを示唆している。消費者を対象とした喫煙と健康の情報を紹介する主要な多国籍のタバコ会社の現在のウェブサイトで、我々は、タバコ及びタバコの煙に含まれる放射性粒子についての記載を見つけることはできなかった」

 このようなことはフィリップ・モリス社に限らない。日本たばこ産業(JT)のホームページにもポロニウムの記載は一切ない。同社ホームページ上でポロニウムの検索をかけても、該当事項はありませんとしか出てこない。「タバコの健康影響評価専門委員会」は、これまで4回開催されている。検証・検討作業の継続が望まれるが、少なくともタバコメーカーのホームページや商品パッケージには、早急に「タバコには、放射性物質ポロニウムが含まれている」と表示することが必要といえよう。

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